その1
ロフチンホワイト最大の欠点は最大の特長でもある直結部分です。オリジナルではドライバーに傍熱管を用いているため、電源投入直後、グリッド電圧が高くパワー管の電流暴走が起き、これが出力管にとって大きな負担となっていました。


    

ならばドライバーも直熱管にすれば良かったのではないでしょうか。しかし発表当時はすでに交流点火が前提となっていた事や、充分なゲインを得るためには傍熱5極管が当然だったのかもしれません。

一方現在は歴史上希に見る真空管黄金時代ですから、がんばって探せばより適した球が見つかるはずですし、今日ドライバー段の直流点火などは屁(失礼)でもありません。ただしその球が異常に高価だったり入手困難な超希少管では困ります。

そこで市販のマーケットから球を物色してみると、電池管の1T4が見つかりました。フロービスで1本400円と安く(中国製1K2)、数もありそうなので、さっそくメーカーの特性カーブより可能性を検討して見ました。


            


特性カーブによれば入力電圧0,5Vくらいで50Vほどスイング出来、なんとか最大出力が得られそうです。プレート電圧が最大90Vまでとなっている点については実験が必要ですが、もっと間隔が積んでいるサブミニチュア管の電極構造と比較しても、到底2〜300Vで問題が起きるとは考えられません。


      


こうした結果を基に作ったのが下の回路図ですが、今回は2A3のカソード電圧から1T4のG2電圧を供給してみました。

もし1T4のプレート電圧の上昇により2A3のバイアスが浅くなっても、その電流増加によるカソード電圧の上昇が1T4のG2電圧を上昇させることになります。

つまりG2への直流負帰還が1T4のプレート電流を増加させ、2A3を深いバイアスへと引っ張るため、動作が安定するだろうというわけです。また傍熱整流管5Z4GT(中国製:フロービスで500円)の採用により、更なる電源投入時の安全確保を行っています。


   


電源トランスもよくあるタイプです。フィラメント用巻線は直流点火や電圧降下を考慮すると、2,5Vの端子よりも6,3V3A位でセンタータップ付きのほうが、両波整流を行う上で実用的です。

また場合によってはスイッチング電源という手もあります。但し2,5Vというのはないので5V2,5Aのものを使用します。これに1Ωをつなげるとちょうど電圧降下が2,5Vになってフィラメント電圧にマッチします。

当然フィラメント回路は各球ごと別系統とし、1T4(1K2)のフィラメントも3Vセンタータップ付のトランス2個により独立した供給を行います。

1T4のフィラメントは電流がわずか50mAなので目一杯小さな容量のトランスで充分ですし、フィルターも作りやすいでしょう。

OPTはオリジナル動作の2,5kΩではなく、SELのT4646S(14kΩ)を用いてやや高めの3,5kΩとして動作させ、Ep=275V Ec=−50V Ip=50mAとします。

こうすればうまく行くと低域もそれなりに延びて、ダンピングファクターも3以上狙えるかもしれません。










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