その2
DS251−MKUの箱はもう1ペアー持っていたので、早速ツインダクトのバージョンを製作してみましたが、あまり良くありません。と言うよりかえって低音の出方が悪くなってしまいました。

原因は開口面積の大きすぎと考えられるので、一番小さなパイプをふさぎ、ダクトの長さを倍にしてなんとかなりました。


      


こう書くと簡単ですが、実際ここまで来るのには様々なスタイルを試みたのです。下左側のタイプなどでは、見た目通りえげつない低音が出てきました。変な格好と思われるでしょうが、試行錯誤中の本人はいたってマジメなのです。


 


こうしてアホな実験をしている間にも私の409に対する新たなギモンが出てきました。それはこのツイーターの位置は少し前に出過ぎなのではないかという点です。

せっかく同軸ならもっとボイスコイルの位置も揃えたいのに、このマグネットサイズではこれ以上後ろにずらすとコーン紙に触れてしまいます。そこでもっと直径の小さい別のツイーターを使うと言う選択肢が浮上しました。

とりあえずオークションを覗いてみるとなんとぴったりのドームツイーターがあるではないですか。直径は1,7センチで値段も819円と手ごろです。早速購入して取り付けてみました。ちなみにナイロンパイプは1cm短い物を使用しました。




米DAYTON社 ND16FA-6 ドーム型ツイーター         
(Made in China)


名付けて「409−8K」!Kは「ここまでやるの?」もしくは「こんな事していいの?」のKです。しかしこれでかなりボイスコイルの位置が近づき、さらにメインユニットのコーン紙の音を邪魔しなくなりました。

まるで409のために作られたようなツイーターで、調整の結果ネットワークはメインユニットに0,39mH、ツイーターには2,3μFをかませ、その後結局コイル無しとしました。

早速試聴してみると、ツイーターによる音の反射がなくなったため音質の向上は大きく、メインユニットの音がコーン紙の中心から端まで全てスムーズに出力されている感じです。


     
             409−8Kシステム


結果として、今まではツイーターの物理的存在により音に澱みがあったことが分かります。このスピーカーのコーン紙はとても薄くて軽いため、単体で鳴らすと極端な言い方をすればコンデンサースピーカーのような味わいがあったのです。

しかしツイーターの存在による不要な反射音がそれを邪魔してしまい、誰もそのことに気付かずにいました。よってこれこそALTECが本当に出したかった音ではないのか、と言ったら言い過ぎでしょうか。

また409の原点がパンケーキというシングルコーンにあるなら、まさに409−8Kこそがその血統を受け継いでいるに違いないと言ったら、もっと言いすぎでしょうか。

と思っていたら欠点も見えてきました。このツイーターは指向性がやや狭いのです。そこでソニーのパソコン用スピーカーPCVA−SS1に使われているツイーターを試します。


  


じつは実験のためもう1ペアー409を入手したのです。しかし実験とは本当にお金がかかり、いったい自分は何のためにこんな事をしているのかと、時々悩むことすらあります。

それはさておき今回はツイーターの変更が可能な改造、つまりオリジナルにある程度復元できるよう接着剤を使わない方法を模索します。

問題はどのようにリード線を出すかですが、固定ボルトの代わりに中空ネジをつくって、これを同軸ケーブル兼固定ボルトとして機能させようと思います。

中空ネジはさほど力が加わらないため、4mmのアルミパイプにネジを切ることにします。当初は真鍮パイプを予定していましたが、たまたま真鍮が3mmと5mmしか売っていなかったので、このようになりました。


 


アルミはやわらかく加工も楽ですが、強度不足のようでしたらその時はあらためて真鍮で作り直します。下の写真が完成したボルト型同軸ケーブルとそれにツイーターを付けた様子です。


  
                                 ソニー 取り外しツイーターキット

またオリジナルツイーターの取り付けに関しては、背面のネジ穴がインチなので、その穴に強引に4mmのタップを切りなおし、直接ネジどめとします。


  
        オリジナルツイーターキット            ND16FA-6 ドームツイーターキット


そして出来上がったのが、リカちゃん人形もビックリ、ツイーター着せ替え型同軸スピーカー409−8K・MKUです。


   


ちなみにソニーのツイーターは4Ωなので東栄の小型シングル用OPTにより8オームにしています。まずはできるだけオリジナル尊重(いまさら?!)という意味でウエイトを付けずに試聴してみます。





しかしやはり中高域の倍音がキツく低音も質感がないため、いわゆるラジオボイスになってしまいます。そこでやむなくウエイトを付けける事にしました。

試聴後の結論として、一見邪道と思えるウエイトが、いかに倍音のダンプとエフゼロの低下により、メインユニットのワイドレンジ化を果たしているかが判ります。

ただしこれでは409の音ではなくなってしまうと思う方もいるかもしれません。しかしそうではなく、このスピーカーに必要な要素を加え、不要な部分を外しただけです。

例えて言うなら枝豆をただのお湯で煮て、さや(カラ)ごと食べても食べられなくはありませんが、適度な塩分を加え、さやを外して食べたほうがおいしいというのに似ています。

次はいよいよ今まで製作したシステム3種類の聴き比べから新たな道を探ります。








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