改良点でまず行いたいのはゲインです。しかし現状の2段増幅ではこれ以上望めません。そこで6N8Pの片側を前段増幅器とし、規定のゲインになるようNFBで調整します。

こうすればいくらか出力インピーダンスが下がり、次段のグリッド抵抗も下げられます。しかし全体的に出力インピーダンスはまだ高目といえましょう。


          


この時実測NFB量は7,5dBですが、周波数特性も若干良くなり、カットオフは28kHZとなりました。20kHzでマイナス1dBですから、ほとんどツイーターのバラツキ範囲内です。


   


また歪は300Vで2,5%まで下がりました。残るは出力インピーダンス対策です。そこで少々野蛮な物量戦に出る事としました


    


6BK4のヒーター電力は6,3Vで0,2Aと低いので、4本パラレルで使用しても6L61本分(0,9A)以下です。おまけにこの球を利用する人が少ないため、今(2015年10月)なら1本300円くらいから新品が手に入ります。

よってこの球を4本パラレルで動作させる事にします。ただしそのままでは6BK4の入力インピーダンスも4分の1になるので、大量のグリッド電流に備えドライバーを強力にしなければなりません。

そこで2A3の再来といわれた6EM7ファミリーの不等双3極管を用いますが、悩ましいのは「ドライバーのドライバー如きをそこまで強力にするなら、6BK4は無くても良いのでは・・・。」となってしまう点です。それはともかく6EM7にドライバーを変更してみました。


        


とりあえず6BK4はシングルのままでセットし、プレート電流が多く流てもバイアス電圧が上がりすぎないよう、チョークコイルは2個並列としました。

この条件で300Vrms出力時の歪率が最小になるようにすると、6EM7のプレート電圧が96Vので最適な状態となりました。

またドライバーのグレードアップに伴い、出力電圧もそれなりに性能アップのためプレート電圧を1700Vとし、400Vrms(P-P 1120V)が得られるようになりました。この時のゲインは250倍で、歪率は7%です。


      


周波数特性も、ゲインが上がった分NFBが増えて、カットオフは36kHZとなりました。残る実験はパラレル動作です。よってパラレル動作用シャーシを作ります。


     


なんとかここまで来ましたが、救済とは言え次第に複雑かつ大げさになって行く様子を見て、2015年のイスラム国によるヨーロッパへの難民と、彼らを大量に受け入れるドイツのメルケル首相のことを思い出しました。

しかし大衆魚でも高級魚でもない特異種の場合、この程度の調理は必要かとも思います。


つづく


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その3
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