「禁断の実験」
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その2
実験機の製作と測定
回路は下のようになっています。ドライバーである6CA7のプレート抵抗は160Wの容量がありますが、予想通りかなり熱くなります。

プレート電圧が予定よりも高いためか、設計値以上の40Wを越えたあたりからクリップがはじまります。またOPTの8Ω端子に12Ωをつなぎ10KΩのプレート負荷としています。





結局50Wのフルパワーを長時間出しても、球は何ともありませんでした。この時、G2にはピークで2400Vの電圧がかかっているはずです。

      


30Wで2,8%、40Wで3,8%という値は、無帰還3極管接続アンプとして世界最高水準でしょう。これほどのポテンシャルをこの球は持っていたのです。

周波数特性は10Hzから30kHzとなります。





外観は下の写真で、相変わらずジャンクの寄せ集めみたいになっております。


     


下の図が電源回路で、高圧回路はケミコンの4階立てになっています。またGK71のヒーター電圧が20Vなのでヒーター回路は別のトランス(写真中右にある銀色のトランス)を用いました。

20Vは軽量化も兼ねて、PC関係の電源アダプターを流用することもできますが、電流容量に余裕がないと突入電流でアダプターに制御がかかり、立ち上がらないこともあります。よって4A以上の電流容量は必要でしょう。

また完全無帰還ということで、SN比を良くする為6CA7以外は直流点火です。こうした結果、残留雑音は0,55mV DF=5,6でした。





このアンプの音は不思議な感じがします。高音や低音がどうのというより、スポーツドリンクのCMのように、音楽がスゥーッとしみこんでゆく感覚です。

これがシングルアンプの醍醐味ですが、計測を行う時、正弦波や矩形波だけを見ていても、アンプの実力はなかなか判りません。

正弦波は計器による測定向きですが、目視では基本波形との相違点やクリップが判りにくく、やせた正弦波がクリップを起こして、逆に歪が低下したように表示されることもあります。

また矩形波は周波数特性に関する波形です。そこでリニアリティやクロスオーバー歪が目視で判る3角波も併せて観察することを、ぜひオススメします。

次回はもっと他の球で、G2定格越えの実験を継続しようとしましたが、その中で意外な真実が見つかりました。







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その1 新たなる常識の幕開け
その2 実験機の製作と測定
その3 今明かされる第2グリッドの意外な真実
その4 新しいコトバ「高圧3極管接続」
その5 4D32によるHVTC
その6 新しいドライバー6HV5とは