これはいわゆる大口径ウーファーとは全然違います。18〜24Cmフルレンジスピーカーの、本来エッジとなる部分を、そのまま同じ素材で、キャビネットぎりぎりまで振動板兼、エッジ兼、バッフルにしたものです。
本来はオーディオ用というより、エレクトーン用、つまり楽器用に開発されたものではないかと思っています。
実際、周波数特性には何箇所かピークがあり、いわゆるハイファイ感はありません。しかしこの規模(6台)で鳴らすと、大型のオルゴールを聴く心地よさがあり、その魅力に困ります。
とは言え、やはり周波数特性のピークがきついと、聴けるプログラムを選びますし、KT88アンプの改良結果もあって、ほどほどにハイファイ化することにします。
【改造その1】
最初は中高域の、分割振動によるピークをミュートするため、コーン紙、というか振動板に2ミリ厚のゴム板を両面テープで貼り付けます。なんだかドラムのチューニングのようでもあります。
ピークを感じた音域と、コーン紙をたたいて鳴る音域が同じ場所があれば、そこに貼り付けます。
ただし貼り付ける大きさをカットアンドトライで決めるため、貼りなおし出来る両面テープを使います。結果は上の写真のようになりました。
【改造その2】
これにより中高域のクセが取れ、フルレンジとして鳴らせます。ついでにツイーターに付いていたコイルははずし、コンデンサによるローカットのみとします。
さらにコンデンサもフィルムタイプに変えようと思っていたら、積層セラミックコンデンサで、該当スペックのものが見つかりました。
ほぼ実物大ですが、上が元々付いていたオリジナル、下が積層セラミック。あまりに小さいし、1個20円で2個シリーズで使っても40円と安い。
こんなもの、ネットワークで使えるんかいなと半信半疑でつないだら、これがびっくり。明らかにハイエンドが伸びて実にイイ感じです。部品屋さんて、本当に努力しているんですねー。
【改造その3】
次は分割振動を抑えて低下した中高域を持ち上げるため、ダブルコーン化を行います。そこで紙から円を切り出すサークルカッターを、物差しとカッターの刃で作りました。
まずは紙の選択から始めようと思いましたが、ちょうど手元にあったアワーハウスのチラシを使うことにしました。紙質はA4コピー用紙特厚クリーム色というものです。
ただし、そのままだと広告文字がうっとうしいので黒く塗装しました。
そして誕生したヤマハNSスピーカー・ダブルコーン仕様!
邪道極まれり!
ではありません。このスピーカー本来のポテンシャルを掘り起こしたのです。
ヤマハの方々も初めて見る光景ではないでしょうか。
オシレーターによるスィープ音を聴いた印象は、60Hzから15KHzまで大きなピークやディップも無く、ほぼフラットな感じです。それでいてNSスピーカーらしさも残っています。
また後面開放型なので、60Hz以下はややあっさりと音圧が低下してゆきます。
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