【ダイナミックマイクとギターのピックアップ】

 

 マイクは、まず軽い素材で作られた筒(ボビン)に電線をぐるぐる巻き、とても軽いコイルをつくります。
 次にコイルの上側に薄い膜を張り、全体を磁石に近づけて完成させます。

 薄い膜は空気の振動を敏感に捉え、コイルと共に振動しますが、その時すぐそばに磁石があると、
 わずかながらコイルが発電します。


  

 

 空気の振動とは音ですから、マイクとは固定された磁石のそばの可動コイルを、
 音で動かす微弱発電装置と言え、このようなマイクをダイナミックマイクといいます。

 

 ダイナミックとは「動的」という意味で、この場合では音によって自ら発電する動きを「動的」と捉え、こう呼びます。


             

 

 電線は1本でも、磁石のそばで動かすと電気が起きます。{イギリス人物理学者、ファラデー【1791〜1867】の研究} 

 もちろん磁石の方を動かしても同じです。

 

 そこで磁石のそばで動かす電線の本数をふやすため、ぐるぐる巻いてコイルにすれば、
 もっと電圧が上がるのです。

 

 

 
 一方エレキギターは磁石の近くにコイルを固定し、ピックアップとします。

 次に磁石のすぐ近くに鉄の弦を配置すると、弦はピックアップの磁石から磁力をもらって、弱い磁石になります。

 

 そこで弱い磁石である弦を振動させると、コイルがわずかな電圧を発電します。

 弦の振動とは演奏のことですから、エレキギターとは、固定されたコイルのそばの可動磁石(弦)を、

 演奏で動かす微弱発電装置となるわけです。

 

 

 


 ちなみに弦がサビないようにステンレスを使うと、ステンレス鋼は磁化されにくいので、
 出力電圧が下がってしまいます。

 
 しかしこのままでは、どちらもあまりに小さい電圧なので、
 なんとかして大きくしなければ、スピーカーを鳴らせません。

 

 そこで登場するのが真空管やトランジスタが組み込まれたアンプです。

 

       【アンプ】

 

 真空管やトランジスタは電圧の増幅を行ないます。

 増幅を漢字そのままで見れば「幅が増える」となりますが、

 実際は「わずかな力で、大きな力をコントロールすること」を意味しているのです。

 

可変速ギアの自転車で坂道を上がるとき、ギアの比率を選択すれば、坂を上がるのに都合良くなります。

これは自転車に乗っている人の足の力が強くなった訳ではなく、ペダルを踏み込む「強さ」よりも、

踏み込む「回数」を増やすように、力の入れ方を変えたからです。

 

このような時は、足の力が「増幅された」といわず、「効率良く変換された」といいます。

 

 一方自動車のアクセルを強く踏むと車のスピードは上がりますが、踏んだ足の力が車を走らせているのではなく、

 エンジンの大きな力があって、それを足の僅かな力の変化でコントロールしているわけです。

 

        


 つまり、力の増幅が行われています。この場合、大きな力の源はガソリンの爆発になります。

 

同様に、真空管やトランジスタには、大きな電流の変化を作る機能があって、
 それを僅かな電圧でコントロールします。

              

これにより、小さな電圧や電流の変化が、大きな電圧や電流の変化となって、増幅されるわけです。

 

       【コンデンサマイク】

 

 コンデンサマイクのコンデンサとは蓄電器のことで、2枚の金属板(電極)を近づけるだけで出来ます。

 ここに電圧をかけると静電気で電気がとどまってくれるのです。

 

 身近では乾燥した冬場にピリッとくる帯電も同じ原理です。

 

 蓄えることが出来る電気の量を静電容量といいますが、電極の面積が大きいほど、
 または電極の間隔が狭いほど静電容量が多くなります。

 

 

 逆に一定の電気を蓄えたコンデンサは、電極の間隔や面積が変わると、その電圧が変化します。

 そこで片方の電極を薄い膜にして、空気により振動させれば、わずかですが電圧の変化が起こります。

 

 イラストの背景は、意味なく木目にしました。

 

 

 

 この場合ダイナミックマイクとは違い、発電ではなく電圧の変化という現象なので、現象を計測するような専用のヘッドアンプと、

 そのための電源が必要になります。

 

 しかし振動板にコイルなどが付かないので、軽くなり高感度のマイクが作りやすくなります。

 ダイナミックマイクに対してスタティック(静的)マイクと言うべきですが、そう呼ぶことは めったに無いようです。

 近年では、磁石や高分子やコイルの製造技術が飛躍的に向上しているので、ダイナミックマイクもコンデンサマイクも
 ほとんど価格に関係なく、高性能なものになっています。

 伝統的な古い頭を持っている老人や、それを有難く受け継いでいる人達による、一昔前の常識は通用しません。
 それらは無視して、自由にマイクを選びましょう。


      
高いマイクと安いマイクの違いはメーカーの利益の違い


 このようにマイクは高分子の振動版を使っているので、温度によって固くなったり柔らかくなったりします。
 ですから、クーラーの効いた室内や冬場と、夏の屋外では音が違います。

 ところがメーカーの音の違いを語る人は多くても、温度についてはあまり語られません。
 例えば「このマイクは気温25℃の時が、一番いい音だ。」といった具合です。

 また真空管マイクというのは、コンデンサーマイクのヘッドアンプ部分を真空管回路で構成したマイクのことで、
 真空管で作られたマイクではありません。


      
【アコースティック楽器のピックアップ】

 

 アコースティック楽器では圧電素子という、圧力をかけると発電するものを使います。

 圧力は普通2つの物に挟まれたとき起こりますが、ピックアップは楽器に貼り付けるだけで、挟まれていません。

 

 実は楽器にしっかり貼り付いていれば、ボディーの振動で部分的な圧力がかかり、発電できるのです。


 

       【ギターのオクーブ調整】

 

 ギターのようなフレットを持った弦楽器は、音程において構造的な欠点があります。

 まずギターを「ブリッジとナットの間に張られた弦」という単純なモデルにして、弦を普通に弾けば基本振動がおこります。

 

 次に12フレットの位置に軽く指をあてて弾けば、ちょうど2倍の振動数つまり1オクターブ上の音がでます。

 これがハーモニクス音です。

 

 

 

 ここでもう一度ギターを開放弦の状態にして、12フレットのところを押さえてみると、
 弦が下向きに引っ張られていることがわかります。

 このとき弾いた音が、実音といわれるものです。

 

 ところで弦は強く引っ張られるほど音程が上がってしまうので、このままでは12フレットを押さえた時、

 1オクターブよりも少し高い音になってしまいます。

 

 

 そこで「弦は長くなるほど音程が下がる」という性質を利用して、
 12フレットからブリッジまでの距離を伸ばしてしまうというのが、オクターブ調整の意味です。

 

 

同じ意味でブリッジの高さを下げて、フレットを押さえたときに、弦が引っ張られる度合いを減らし、音程の上昇をおさえる事もできます。

この様子を表にしてみました。

 

実音がハーもニクスより

ブリッジの位置

ブリッジの高さ

高いとき

後にずらす

低くする

低いとき

前にずらす

高くする

 

 オクターブ調整とは、12フレットにおける正確な音程の確保ですが、

 これにより他のフレットも全て音程が正確にそろったわけではありません。

 

 しかし、実用上これで良しとしなければなりません。

 そしてこれが、最初のほうで書いた構造的欠点ですが、逆にこの不正確さが、ギターという楽器の持ち味ともいえます。

 

【アワーハウスオリジナルの非常識チューニング】

 

 ギターのネックは弦に引っぱられてどうしても曲がってしまいますが、最近曲がり方に、ある傾向が出ています。

 ギターのネックは細いほどフレットを押さえやすいので、メーカーはそれに応えてくれています。

 

 ところがギタリストは太い音を良しとします。そこでギタリストは昔からいろいろ工夫してきました。

 太いシールド線を使うと太い音が出るとか、太い弦を使うと太い音が出るといった考え方です。

 

 太さにこだわるギタリストですが、「太ったね」と言われる事には抵抗を感じるようです。

 

 それはともかく、細身のネックに太目の弦を張ったギターは、通常の円弧を描くようなR型の曲がり方ではなく、

 釣竿のように先端部分が強く曲がったJ型になります。

 こうなると、先ほどのオクターブ調整では解決できない音程の不正確さが、5フレットあたりで発生してしまいます。

 

 

 そこで、もしあなたが開放弦をあまり使わず、コード弾き主体なら、チューニングは5フレットで行いましょう。

 具体的には6弦の5フレットを押さえ、5弦の音程つまり「A」になっていればよいのです。

 

 このときおそらく開放の音程は「E」になっていないでしょう。他の弦も同様に隣の弦の音程で合わせます。

 

 このような作業は、精神的にかなりの抵抗を感じると思います。何しろ今まで誰にも言われたことのない、

 どんな本にも載っていない方法ですから。しかしこれで音程感はすごく引き締まります。


      
【空気の振動、音波について】

 

人間が聞くことのできる音は、若くて耳の良い人でも、20Hzから20kHzまでといわれています。

しかし、もし25kHzと26kHzという2つの聞こえない音を出していたら、2つの音が合わさる事で、

その和と差つまり51kHzと1kHzをつくりだします。

 

そこで人が聞ける1kHzが聞こえて来ます。

 

このことをビート(波立つという意味)と言い、2つの正弦波が合わさると第3、第4の正弦波が波打つ事を言います。

弦楽器の調律では2本の弦が同じ音程になってないとビートが起きる事を利用して、音程を合わせます。

 

一方20Hzあたりは、音というよりまさに空気の振動で、耳で聞くというよりほとんど身体が聞きます。

20Hz以下の音も鳴っていれば判るのですが、もはや耳ではなく身体の振動で感じます。

 

ところで音波が空気中を伝わる時、周波数によって、その波一個分の長さが違います。

音波は空気中を1秒間に340m進むので、100Hzの音なら、その距離の間に
 プラスマイナスを100回繰り返していることになります。

 

そこで波1個分の長さは

340m÷100=3,4m (340cm)となります。

 

 

 波の幅が1番大きく振れるのは、波の4分の1と4分の3の時で、一方始まりや終わり、2分の1の時は波の振れが0ですから、

 100Hzの音の場合、音源から離れる時に、85cmごとに音量が大きくなったり小さくなったりして聞こえます。

 

 この現象は、中音から低音になるほどよく出てくるので、部屋の位置の違いで、低音の出方がずいぶん変わることがあります。

 

        オリジナルソング ..\eMusic\index.htm