禁断の実験 その3

今明かされる第2グリッドの意外な真実!
まず、下にある2つの特性カーブを見てください。まったく同じKT88の3結による特性ですが、実は、左側が第2グリッド抵抗100Ωなのに対し、右側は3KΩもあるのです。しかし特性には変化がありません。


  


そこでいったいどのくらいの抵抗値になったら特性が変化するのか調べてみると、なんと23kΩや47kΩといった値でも下のような結果でした。


  

つまり3結時では、G2の電流は常にかなり低く抑えられていて、一般に考えられているパワーグリッドではなく、スタティックなグリッドに変化していることになります。

別の言い方をすれば、電流的にはわずか数mAしか流れませんが、電界としての効果は大きく、それが3極管特性を形成しているわけです。

このため高い電圧をかけても、G2損失は極めて小さく収まり、それはG1のバイアス電圧が0Vの付近になっても、まったく変化しません。

ですから3結時において、G2の損失はほとんど考える必用が無く、ただ耐圧のみを考えれば済み、しかもG3とプレートとの耐圧を考えれば、かなり高めに設定出来るはずです。そして、これこそがヤナギダ理論の裏付けなのです。

現在、電流曲線測定器はオシロカメラとシンクロさせ、16分の1秒の短時間通電で特性曲線の撮影をしています。

しかしまだ手動でモタモタ通電させていたころ、G1が0Vになる付近の5極管特性を撮影しようとすると、G2が電熱器のニクロム線のように、みるみる赤くなる現象が度々確認されました。

この経験から、5極管の劣化は、プレートではなく主にG2から出るガスが原因である可能性が高いと推測されます。

今までG2は電流変化が大きいので、レギュレーション良く電源を設計するよう言われてきましたが、出力最優先の時代が終わった今、そこそこ抵抗でドロップした方が、球にやさしいのではないでしょうか。

次回はいよいよ、さまざまな真空管による、「高圧3極管接続」の検証実験にはいります。



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その1 新たなる常識の幕開け
その2 実験機の製作と測定
その3 今明かされる第2グリッドの意外な真実
その4 新しいコトバ「高圧3極管接続」
その5 4D32によるHVTC
その6 新しいドライバー6HV5とは