【8】ピーク値と実効値

 

A)ピーク値

100Vの直流と100Vの交流(正弦波)を比べると、たしかに交流は90°で100Vであり、
 270
°でマイナス100Vですが、°や180°や360°の時は0Vになっています。
 また0Vの付近も100Vには、はるかに至っていません。

 

これで直流と同じ100Vだと言ったら、毎月数日だけは働くが、
 あとは適当にお休みしている人と、
全く休みなく働いている人に、
 同じ給料を渡しているようなものです。

 
          

 

そこで呼び方を変え、交流の場合は「ピーク値が100Vになっている。」と言います。

 

B) 実効値

実効値とは、本当はどれだけ仕事をしたのか分かるようにすることを目的としますから、電力を中心に考えます。

そこで直流のときと同じように1Ωの抵抗を機器のかわりにつなぎ、交流の電源はピーク値1Vの正弦波

 

電圧E=Sin2πfts(V)

 

 

 を使いますが「2πfts」は単なる角度に過ぎないことから、式を簡単にするため、
 単純な角度の記号「
θとおきかえて

 2πfts=θ  とすることで電圧はsin2fts(V)からsinθ(V)と書き換えられます。

 

 また電流Iもオームの法則を使い、電圧(sinθ(V))÷抵抗(1Ω)から計算すると、

電流=sinθV)÷1(Ω)=sinθA)

 

 こうして電流Iと電圧Eが決まったところで、電力PはE×Iですから

電力P=sinθ(V)×sinθ(A)

 

 です。ここで単位を省略してみると、sinθ×sinθというsinθどうしの掛け算がでました。

 しかし、世の中には頭のいい人がちゃんといて、数学者により

sinθ×sinθ=(1−cos2θ/2

 

 という公式がすでに用意されています。この式を分数の約束で少し変形すると

=(1/2)−(1/2)・(cos2θ) 

 

 となります。さらに「θ」を本来の「2πfts」に書きなおすと
 「2
θ」は「2×(2πfts)」と書けます。

 
 しかしこれをそのまま計算して「4πfts」と書いても、何の事か分かりにくいかもしれません。

 

 そこで「2π・2fts」と書けば、fが2倍になった、つまり周波数が2倍になったことが分かるでしょう。

 この説明にならって式を展開すると、

 

sinθ×sinθ=(1−cos2θ/2

=(1/2)−(1/2)・(cos2θ

=(1/2)−(1/2)・(cos2π・2fts)   この状態で式を3つに色分けしてみます。

(1/2)−(1/2)・(cos2π・2fts)

 

 この式が示す最初の(1/2)とは「グラフの線全体を0、5だけプラス側に持ち上げますよ。」
 ということです。
わかりやすいように後ろに置くとすると

 

−(1/2)・(cos2π2fts)(1/2)

 

 と書けます。そこでこれはひとまず置いといて、 
 その次の
(1/2)・(cos2π2fts)を先に確かめます。

 まず(1/2)・というのはマイナス2分の1を掛けるという単純な意味です。

 

 次のcos2π2fts)という式を絵に描いてみると、波の形は正弦波とまったく同じ形です。

 ただ0°のときに1、つまり正弦波の90°のときから始まるような形をした
 サイン波に良く似た余弦波(コサイン波)です。

 

 ただし、その直前にくっついている(1/2)・はコサイン波全体を2で割ることです。

 つまりA・sin2πftsの場合で考えると、Aに相当する数値が
 1/2=0,5になっていることを意味します。

 

 ですから波の振れ幅が半分になっています。

 

      

 

 さらに「2fts」の「2f」とは周波数fが2倍になったことを表しますので、
 波の変化が倍の速さになります。

 ですから、sin2πftsの1周期を基準にして書いた横軸の角度は、
 周波数が2倍のcos2
πftsでは、θが半周期移動すると、すでに1周期まで進んでいます。

 

 そしてその前にマイナスの記号がついているので、波形はプラスマイナス逆になる、
 つまり絵を裏返し
(反転)してやればいいのです。

 

          

 

 仕上げとして、後回しにした(1/2)があるので、全体を0,5だけ上に移動させて、
 中心線を0,5にします。

 これでやっと電力を示す波形が出来ました。
 そしてこの絵の縦軸は、掛け算の答えであるW(ワット)を表しています。

 

      

 

この時「山」の半分から上は、「谷」つまり半分から下と同じ形なので、
 この部分を切り取って谷の中へすっぽり入れてしまいます。

すると、ちょうど0,5のところで平らになります

 

    

 

このようにピーク1Vの電圧と、ピーク1Aの電流をかけあわせた正弦波の電力は、
 平らにならすことで0
,5Wになってしまいました。

それなら逆に0,5の平方根を求めれば、実際に有効な電圧と電流を計算することができるわけです。
 すると、

電圧は√0,5=√(1/2)=√1/√2=√2/2,7(V) 

電流は√0,,7(A)

 

 つまり約70パーセントしかなかったことなりますが、これでやっと直流と肩を並べられる評価、
 つまり実効値となりました。

 

 じつは家庭のコンセントから出てくる電圧は、すでに実効値で100ボルトです。
 そこでピークなら何ボルト出ているか計算してみると、

100V=実効値=ピーク値×0,

    ピーク値=100V÷0,140V  この電圧で私たちは感電します。

 

電圧メータなどの表示は、ほとんどが実効値で表されますので、
 ピーク値を知りた
時はメータの値を約1、4倍、厳密には√2倍しなければなりません。