SV 811-3
先日ふと、スベトラーナのSV811−3を、2本所有していたことを思い出しました。

超有名出力管811Aのローミュータイプくらいに思い、かなり以前に衝動買いしたのですが、実際はどのようなタマか気になりだしたので、製作記事をネットから探してみました。

すると、どの記事も判で押したように、450Vくらいのプレート電圧でトランスドライブのA2級となっています。また出力は10Wほどで、歪率3%以下で見ると実質6Wといったところでしょうか。

しかしA級動作でアンプをつくるなら、811Aでも、かなり低歪で20Wのアンプが作れます。またドライブ段にカソードチョークフォロワが必要ですが、ドライブ電圧はわずか12Vくらいの、実にシンプルな回路で済みます。




                    
      

せっかくローミューの球を使っているのに、なぜ純粋なA級動作例が無いのか不思議に思い特性を測定してみると、バイアス電圧測定限界がマイナス100Vである、私のアダプターでは観測できないほど、深い所に最適動作点があるらしいとわかりました。

下のグラフがそれです。予想ラインである点線だらけですが、バイアスはマイナス150V、つまりA級動作ならば、ピークトゥーピークだと300V近いドライブ電圧が必要なのです。

これは確かにキビしい。またプレート電圧の700Vも扱いにくいでしょう。どうやらこれが、A級動作の製作例がほとんど無い理由のようです。
ちなみにプレート損失は余裕を見て50Wとしました。





そこで、この高いプレート電圧をドライバーに利用することを考えました。ハイボルテージドライバーこそが、SV811−3アンプ成功のキーワードと思えるからです。

具体的にソブテックのニセ 「7591」3結を使って、プレート供給電圧700Vのロードラインを引いてみると、負荷抵抗20KΩ、バイアス電圧ー40Vでピークトゥピーク400Vくらいスイング出来るスーパードライバーができるとわかりました。

これはすごい!ただし負荷抵抗の電力損失は9W。発熱を考えると50W以上の抵抗器が必要でしょう。詳しくは下のグラフをご覧ください。



     


ニセと書きましたが、7591としてニセモノであっても、6L6似の真空管としては非常にちゃんとしています。誤解の無いように。

初段管は最低でも40V以上の出力を100倍程度のゲインで送り出さねばならず、ローミューの3極管2段か、5極管でなくては無理でしょう。

そこで今回は、6SJ7をEbb300V以上で使い、場合によっては7591から若干のNFBをかけて特性を整えます。これでラインナップはそろいました。

次回はこのように取り組んだアンプの、驚くべき結果をご報告します。







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