夢の機械タイムマシンは、なかなか実現しませんが、そもそもタイムマシンの利用価値とは何でしょう。未来に行って当たり馬券を調べますか?過去に行って人生の過ちを修正しますか?

ところがこれらの行為は、自分だけがタイムマシンを持っているという前提の話であって、みんなが持ってしまうと話が変わってきます。

まず競馬では全員勝ち馬を知っているので、オッズは1倍となり、ギャンブルが成立しなくなります。つまり全出走馬券を買っている場合と変わらないのです。


          


また誰もが人生をやり直せるので、今を生きるという意味がなくなるか、あるいは他人より有利になるため、やり直し競争が起こるでしょう。

これでは現在の生存競争と何ら変わりなく、むしろ複雑化した分、苦労が増えてしまいそうです。つまり人生というギャンブルも成立しなくなるわけです。

結局タイムマシンの一般への普及は、全員が勝手に移動してしまうので、もはや時間旅行とは関係ない、別の環境や場所へ移動しただけと同じになってしまいます。


           


過去に行ったら現場を変化させてはいけない。というSF物語のルールなど、隣国の民が数億人規模で移動したらどうなるか、誰の目にも明らかです。

一方実用的タイムマシンは、亜光速で移動したり、強い重力のそばにいて体内時計を遅らせ、未来を目指す方法がありますが、元にはもどれません。これは人体の冷凍保存と似ています。

過去は遠くのもの、例えば火星に鏡を取り付け地球から見ると、26分前の自分が見えますが、もはや修正できません。つまりビデオ動画と同じです。

ちなみに夜空の星は数千万年から数億年前の風景です、それ故、現在はすでに消えて無くなっているものも、あるでしょう。


  


こうしてみると、タイムマシン願望とは、実のところ特権意識であったことがわかり、逆に現実社会をカイゼンしたり、今をしっかり生きる重要性が見えてきます。

タイムマシンは自分だけが持ち、他者には持たせないと全員が考えたならば、それは誰も持ってはならないないと言う意味になります。

ではなぜ実現不可能で、可能だったとしてもたいして役に立たないタイムマシンを、人類は思いついてしまったのか、私たちが考え付いたものは、大抵実現するはずです。

それは私たちが時間の概念を持ち、常に未来予測を望んでいるからでしょう。あるいは過去を反省し、やり直せるならそうしたいと思う向上心があるからでしょう。


       


だからこそAIによる未来予測が期待されているわけです。ビッグデータを基にした、このエグい占いは、確率が恐ろしく高く、一見ランダムに見える現象にも、法則性を見い出します。

未来予測といえば、ネクラなニュートンを科学の大舞台に送り出し、自らの死後に来るであろう彗星の時期と方向まで予測するなど、カッコよく時代を生き抜いたイギリスの天文学者、エドモンド・ハレーが有名です。

実際AIによる犯罪予測システムは、すでにかなりの効果をあげているようです。ただしAIを使った犯罪も、当然大量に出てきます。


          


つまり優れたセキュリティと、それをかいくぐる知恵比べは終わりませんが、一方で鍵をかけなくてよい社会を構築する方が、より効率的で生産性があるはずです。

はるか先の人類は分からないものの、今はまだ直接のコミュニケーションが大きなチカラをもっていて、それは宇宙における重力同様、個々の距離のバランスを司っています。

しかしバーチャルなコミュニケーションでは、正確なの距離感が掴みにくいのです。さらにその中に長く滞在すると、リアルな世界での距離感まで不安定になります。

これはちょうど長く船に乗り、強く揺られていると、陸に上がってもまだ揺れているように感じるのに似ています。

ちなみにコミュニケーションに対応する言葉がプライバシーなので、コミニケーション感覚の歪みは、プライバシー感覚の歪みに強く影響を与えます。


 


テクノロジーは重要ですが、最終的に未来に遭遇するのは、リアルな私たちですから、花見や子供の運動会をスマホ越しのテクノロジー経由で見るのはやめて、極力リアルな今の世界で完結させてゆくことが大切です。

未来は、バーチャルでは無意味で、必ずリアルなものでなければなりません。逆に言えば、タイムマシンはバーチャルな世界では、存在しても問題ないでしょう。

ですからバーチャルなタイムマシンで自分をシミュレートし、それを現在にフィードバックさせる、いわゆる理性的に想像力を働かせる事は、とても有効な作業と言えます。