6B4Gと言えば2A3の6V球でGT管ソケットが使えるため、未だにそこそこの人気があります。しかしバンテックの商品リストにある傍熱管タイプを見た時、誰もが「これって、あの6AV5に似てるなー。」と感じた事でしょう。

価格も6B4Gの一般相場よりはるかに安く(2500円)、いかにも工業用レギュレーターとして作られた感がありますし、海外からの購入サイトでは18ドル(最近レートで1400円程度)というルートもあります。

ただし送料が3000円程度掛かるので、4本以上購入しないと実際の安さは発揮できません。そして商品説明には「安いとコーフンする前に、後の文章を読んでください。」と、本来の6B4Gとは違う旨の注意書きが添えられています。





一方6AV5(12AV5)も投売りが一段落した現在、確証が無いままこの球を探し出し、その3結をニセ6B4Gとして使う事自体、やや意味が薄れてきました。

とは言えこの謎を放って置くほど管球マニアは堕落していませんし、またいつの日か6AV5のアンプを作ろうと思っている人も多い事と思います。そこでまず6AV5(12AV5)の3結と、ご本家2A3の特性を比べてみます。


       


       


こうしてみると若干内部抵抗の違いはあれ、かなり良く似ている特性から新型6B4Gが6AV5の内部3結球であることはほぼ間違いないと推測できます。

またプレート損失の11Wは、オーディオ用途なら15Wとして充分通用するはずです。それにしても6AV5の3結特性は非常にきれいなカーブを描いているのが分かります。

違いがあるとすれば、μ低下のためにG1のピッチを若干粗くしていることが考えられますが、その後実際に新型6B4Gを入手して特性を調べた結果、下のグラフのように若干の特性コントロールが判明しました。


       


これを2A3と重ねてみると、かなり似ている、と言うよりやや優れていると実感します。またバイアス0V時の違いは計測ミスによるもので、実際はほとんど重なります。

よって新型6B4Gは単なる6AV5の3結ではなく、ちゃんと別物として作られています。またこの球が、本来の6B4Gより劣っているといった記載は誤っています。



       


ちなみに同じ曙光電子の2枚プレートタイプの2A3を調べましたが、残念ながら手持ちの2本ともヒステリシス特性が出てしまいましたので、まずはエージングを行ってから再測定します。

この異常個所はバルブチェッカーに出ず、しかもシングルの動作範囲ギリギリのため、知らずに使いながら「やはり2A3はイイ!」などと思っている事も多いのではないでしょうか。


       


その後エージングを10時間以上行っても、この現象は変化せず、さらによくヒステリシスカーブを見るとグリッドバイアスが深くなった時だけに起きてるので、電極間の管内リークが疑いました。

しかしメガーによる測定も異常なしで、あれこれ試しているうちに下のような計測結果が出ました。違いはフィラメント電圧で、2Vくらいまで下げると、このようになります。


       


ただしフィラメント電圧を1,5Vまで下げると下のようになってしまいます。


       


そして偶然なのかわかりませんが、最近2枚プレートの2A3が市場から姿を消し、残っているのはRCAのオリジナルくらいです。

この後は本来のテーマから大幅に外れますが、これらの変則的なカーブの発生原因について考察を行います。


つづく








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