送信管アンプで高いプレート電圧がそのまま使えるドライバーといえば、6HV5や6HS5などのハイμビーム3極管が有能です。しかしこれらの球はあまり市場に出回っておらず、しかも関連雑誌によるドライバー活用例が無いので、ほとんど周知化されていません。

また100Vくらいまでの出力電圧なら6AU6による高圧ドライバーでも何とかなるものの、200V以上となると、そのストローク自体最低でも400Vは必要なため、700〜1kV近い供給電圧によるドライバーが必要となります。

ではそうした球を入手しやすい球で代用できないものでしょうか。出力管を3結にして用いたパワードライバーも有力ですが、たいてい10倍以下という低ゲインのため3段増幅構成が必須となるのに加え、10W近いプレート抵抗の発熱もバカになりません。

しかし最近「7403」という球の特性をネットで調査している際、その中にG2をカソードにつないだ特性カーブが発表されている事に気付きました。


  


     


なるほど、こういう使い方もあるのかと、早速6P3S(6L6GT)で同様の接続による特性を測ってみました。


          


これによりμ=300という3極管が出来ました。ところが200倍というゲインは確かに魅力的な反面、内部抵抗が高すぎて300kΩ以上の最適負荷動作となってしまうため、次につながる出力段のグリッド抵抗に1,5MΩ以上が要求され、使い勝手が良くありません。

多くの送信管や出力管はカソードバイアスでも500kΩ以下と指定している場合が多いのです。そこで水平出力管系でトッププレートではない6AV5を計測してみました。縦軸が0,5mA/divと変更している点にご注意ください。


          


すると今度はμ=150とさほど大きくならず、また6W6は両者の中間の値でしたがどれも今一つです。ところでよく考えてみるといずれの動作例もプレート入力2W程度なので、MT管を起用しても問題ないかもしれません。そこで6BQ5で同様の特性を測ってみました。


          


これはまあまあ良い方ですが、6HV5などのようにG1がフレームグリッドとなっていないためか、μの大きさの割りにgmの値が伸びず、やはり最適負荷抵抗が高めになってしまいます。

と言うより6BQ5を1kVというプレート供給電圧で使うこと自体、世間様のご批判を浴びそうです。しかしそれはさて置き、なんとかμとgmの値を上げる方法は無いのでしょうか。

そこでまたずるい考えが浮かびました。


つづく






その1
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