ハイμ3極間接続では今一つだった電流特性を改善させるには、G2に僅かなバイアスを与えてハイμ5極管接続とすれば良いのではないでしょうか。
そこで試みとしてG2に13Vという低い電圧を与えて特性を測ることにしました。まずは6P3Sで様子をみてみます。動作としては3,5極管接続と言ったところです。
するとgmの上昇と共にカーブ全体が左によって電圧利用効率が良くなりました。おかげでプレート供給電圧を900Vにしても200倍のゲインを保ったまま、最適負荷を200kΩまで下げることができたのです。
これに気を良くしたので、早速6BQ5の特性も測ってみました。結果はほぼ同一の条件で、最適負荷を実用範囲の100kΩまで下げるることができました。
ただし最大出力電圧はバイアス電圧が−1Vの時で200V止まりです。また縦軸が1mA/divと変更されているのでご注意下さい。
このドライバーの活用例として、RCAの規格表から845による30Wフルスペック出力時の設計がマッチすると分かります。またその時の最大出力は入力電圧0,7Vrmsで出せます。
ただし845のグリッド抵抗は、ドライバー側からすれば500kΩ以上が好ましいので、845の仕様制約からカソードバイアスのみによる設計、もしくはグリッド・カソードバイアス併用となります。
こうしておなじみの6BQ5と845という2本だけのコラボにより、あっさりパワーアンプ構想ができてしまいました。このようなラインナップもまた面白いのではないでしょうか。
ちなみにG2電圧はヒーター巻き線などで簡単に作り出せることでしょうし、G2電流も0,5mA程度しか流れないので、10kΩ程度の小型ボリュームで簡単に調整できます。
こうなると人間欲が出てきてG2バイアスを19Vくらいに上げたらどうなるのか知りたくなりました。その測定結果が下の図です。
gmが上昇し内部抵抗は下がりますがμの低下が大きく直線性もあまり良くありません。特にG1がー1Vとなる点を境にバイアスが深い部分でμが低下しているのが分かります。
下のグラフがEg2を変化させた時の様子です。
しかしこのままでは机上の空論ですので、実際のアンプで実験してみます。
つづく
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