サイドコンタクト端子を付けたまでは良かったのですが、第3グリッドが頭頂部とソケット側に出ているのを利用しないのは、「もったいない」のではないでしょうか。このままでは日本人のプライドが許しません。

そこで切り込みを入れたリン青銅板によりプレートと第3グリッドをショートさせ、ソケット側の中央のピンをプレートとすることにしました。


       


これによりソケットの改造をさらに行わなければなりませんが、ついにこの球もシングルエンド化されて、頭頂部からリード線を出す必要がなくなったわけです。


                        


しかしアホという病は、60歳をすぎても進行するらしく、こうした行動はさらにエスカレートし、なんと中央端子を第2グリッド端子と直結することで、3極管化てしまったのです。

名付けて「RL12P35T」!・・・「T」はもちろんトライオードのT、もしくは「取り返しがつかない。」のTです。


                       


ここまで来てしまうと、もはやオリジナルソケットは使えなくなり、むしろ今回制作した改造ソケットだけが使える、特別な3極管だと割り切れて良いかもしれません。

しかしこのような状態において、安定した動作が期待出来るのでしょうか。早速この古いけれど21世紀になって出てきた新しい「3極管」を計測してみましょう。


              


グラフを見る限りあまり美しいカーブとは言えず、μとgmの低い低感度の使いづらい球のようです。逆に低感度だからこそこのような接続でも発振が起こらないのでしょう。そこで3定数を測ってみます。


              


具体的にはgmの低い水平出力管といった雰囲気で、少し残念な感じがします。試しにヒーター電圧を10Vまで下げるとバイアスの深い部分で若干改善されます。

しかしながらそれほどの改善は無く、まるで「バカな真空管マニア民族に告ぐ。これを3結にしてシングルアンプなんかで使った場合、同盟国といえども真空管製造工場での強制労働をも覚悟せよ!」と,、ドイツ国防軍に釘を刺されている気がします。


              


ともあれ取り合えずシングルアンプを設計してみると、プラス側は6Wなのにマイナス側は3Wしか出ないという、やたらと2次高調波歪の多いアンプになります。

しかしマイナス側を140Vまで振れば極めて歪の少ないアンプになるとわかりました。


              


そこで同時期やはりドイツ国防軍で活躍した小型5極管「RV12P2000」を使い、打ち消しドライバーを作ることにしました。



つづく


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2、頭頂部からの解放と新しい名前
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