RV12P2000はRL12P35と同時期に開発された電圧増幅用5極管で、特殊なソケットにすっぽり入るように設計されています。また現時点で球もソケットも、それほど入手に問題はありません。
ちなみにこの球は頭からソケットに挿すため、お尻の部分に専用のツマミがないと、ソケットから球を抜くことが出来なくなりますのでご注意ください。もっとも、ツマミはFU-50などの頭についてるものが、そのまま使えます。
しかし実際にソケットに入れてしまうと、球が全く見えなくなります。やはり真空管アンプは球が見えてナンボですし、こうした珍しい球は、ちゃんと見せなくてはいけません。
そこでこの球をGTプラグに接続して、GT管と同等に使えることを考えました。センターピンにM3規格のネジが貫通できるよう穴をあけて、引き抜きツマミ用のネジ穴を利用し、真空管をプラグに固定します。
また真空管のサイドコンタクトピンからは、0,6mmのスズメッキ線をハンダ付けして伸ばしています。
こうして第2時世界大戦の亡霊は21世紀に生まれ変わり、その名はRV12P2000−GTとなりました。いつも通りかなり邪道で、しかもネーミングがクルマっぽい気がしますが、これは使いやすい!
そして何よりも、球のカタチがちゃんと見えます!
気になるグリッドキャップですが、直径が7mmなので、通常の6mmや9mmの規格では合いません。そこで不要となったオリジナルソケットの最上部をカットし、円盤型の風変わりな7mmグリッドキャップを作りました。
ナチスの人々も、80年後の平和になった同盟国である日本において、まさかRV12P2000がこのような変貌を遂げるとは、想像だにしていなかったでしょう。
また規格表には3極管特性も載っているので、それにロードラインを引いて、プラス側100Vマイナス側140Vになるような動作例を求めてみます。
もちろんこの動作例ではドライブ能力ギリギリなので、実際にはもう少し余裕を持たせた動作となるでしょう。
これによるとB電圧350Vで43KΩ負荷、バイアス電圧ー10Vの動作が適しているようです。ただしこのままでは入力に10V必要なため、出力10で歪の少ない15〜20倍程度のプリドライバーが必要となります。
ところがカーブを見るとほとんど同じ定数で、 バイアスのみを−2V程度に変更すればよいとわかりました。これはわかりやすい。つまりカソード抵抗を3kΩと250Ωとすれば良いのです。早速回路を設計してみます。
つづく
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