最終的に、回路図は下のように決まりました。6AU6のプレート抵抗と直列につながっている200mHはまさに邪道で、高域のカットオフ周波数を上げるためのピーキングコイルです。
つまりカソードはシングルでも、入力キャパシタンスは2ユニット分あるわけで、これが効いてきたためか、裸特性で35KHz以上あった6AU6の高域カットオフ周波数が、動作状態では15KHzまで低下してしまいました。
こうした場合、通常はカソードフォロワーなど、バッファにより低出力インピーダンスで対処します。しかし今回は6AU6単段ドライブで完全無帰還アンプを成立させるため、ピーキングコイルという手段を用い25KHzまで帯域を拡張しました。
使った部品は、いわゆるマイクロインダクターと呼ばれるもので、1個150円程度で購入できます。実際は100mHを2個直列にしました。
というのも、少ないインダクタンスを多数直列にすると、巻線間容量をも直列になり、トータルの静電容量が低減できるからです。
またプレート抵抗は、ゲインとリニアリティーを検討した結果、50KΩ(交流的には43KΩ)となりました。
6C33のカソード抵抗は、当初200Ω20Wを2個直列にして、60Vの自己バイアスを予定していましたが発熱がひどく、急遽並列の40W100Ωとし、13V程度の自己バイアスにしました。そのかわり50Vタップから3倍電圧して、必要な固定バイアス電圧を作っています。
毎度のことですが、真空管主体にアンプを設計してしまうため、メイントランス、サブトランス、ヒータートランス、さらにはメインチョーク、ヒーターチョークや多数のケミコンが必要となり、シャーシ内外は大混雑です。
しかしパワー段と、たった1段のドライブ回路を個別のパワートランスでまかなうのは、貧者の贅沢と言えましょう。
またシャーシ上は、サーマルシールド板を取り付けました。真空管側を黒く塗装しただけの簡単なアルミ板ですが、静電シールドの効果はもちろん、ケミコンやトランスの温度上昇をおさえ、躯体の剛性を高めるほか、放熱板として対流を起こしてくれる優れものです。
結局GT管のソケットは、まわりに部品があふれて使えなくなり、さらにヒーター回路の余裕も無いので、はずして通気孔にします。
それでは計測の結果に行きましょう。