トランスの規格が違っていたことをきっかけに、より最適な ドライバー用の球はないかと、新しい候補を考えていました。
そんな時、たまたまオークションに6AU6がまとまって出品されていたので落札し、ついでに特性曲線を眺めていました。
すると,、なかなか面白い設計方法が有るではないですか。とりあえず下のカーブを見てください。
つまり、プレート供給電圧450V、プレート負荷抵抗28kΩで、150V弱の出力電圧が得られ(P−P280V)、その時のゲインが140倍であることがわかったのです。これなら0,8Vくらいの入力電圧でフルパワーが出せそうです。
またプレート抵抗が低い分、高域特性も期待できそうで、さらにセコい考えですが、バイアスの深い部分が、出力段のそれと打ち消しあい、意外と低い歪率に収まる可能性があります。
この動作は、6AU6にとって一見過酷なように見えますが、実際には3Wのプレート損失に対して、1,8W程度に収まっています。ただしプレート抵抗の損失は2W以上になるため、10Wクラス以上の抵抗器が必要となります。
こうした動作例が今までほとんど無かったのは、真空管回路が中心だった当時、ケミコンの2階建てや、大きなワット数で高抵抗の部品を大量に使用するのは、おおげさで非現実的行為とされていたためと思います。
かつてはケミコンも大きかったり、ホーロー抵抗などの様に、リード線が無かったりで実装しにくい面がありました。ならば、近年登場した部品の小型化と多様性を利用しない手はありません。
上が回路図です。さらにシンプルな回路構成となり、一見すると、まるで教科書通りですが、内容は電圧や抵抗など、どの教科書にも載っていない数値になっています。「隠れ特殊回路」とでも申しましょうか。
6AU6のプレート抵抗は、5W100KΩ3本で構成した15W33kΩです。設計値と異なるのは、6C33のグリッド抵抗との並列値が28KΩになるようにしてあるからで、その分、6AU6の供給電圧を上げています。
また、ヒータートランスは別としました。
それではこの回路で実際にアンプをつくってみましょう。・・・と思ったのですが計測の結果、ヒータートランスの電流容量が不足していることがわかったのです。
そこで、いろいろと対策を考えていた時、面白い(と言うかずるい)考えが浮かびました。
(つづく)