このアンプが完成した後ほぼ毎日つけっぱなしで使用していましたが、1月中旬急に片チャンネルの球だけが壊れてしまいました。そして球を分解した結果、部分的に電極の支柱が熱で曲がる程の高温が発生していたことがわかったのです。


  


原因を探る中、同一プレート入力でも球によってプレートの温度差があるとわかり、電子ビームの偏りに問題があると言う結論を出しました。

このようなGU−50損壊の事故をきっかけにもう一度、というか初めてちゃんとGU−50の特性を調べて見ることにしました。よく考えてみるとネットに出ていた特性だけでアンプを製作した時、あまりに結果が良いので浮き足立ってそのままにしていたのでした。

しかし今回の事故原因をあれこれ考えてゆくうちに、もしかしたらこの球は2次電子により第3グリッドにも負担が掛かっているのではないかと思い始めたのです。

それならばいっその事、第3グリッドをプレートに接続した方が良いのではと思い、そのために実際に計測したのが下の図です。まず通常の接続方法による特性を測ったところ、あらためて非常にきれいなカーブであると感心しました。


            

続いてさほど変わることもあるまいと思いながら第3グリッドと第2グリッドを一緒に、100Ωを通してプレートに接続してみました。すると明らかに相互コンダクタンスの上昇と共に内部抵抗が低下し、さらにリニアリティまで向上しているではありませんか。


            


こいつはまいった・・・。いきなり出てきた新たな特性を通常の3極管接続と比べると

 μ=5→4.7  gm=4000→5500μmho Rp=1250→850Ω

と言う具合になりました。これはほぼ2A3に近い値で、内部抵抗が低いため低電圧動作でも電源効率が上がり大きな出力を出すことが出来ます。

早速アンプにもこの結果を反映させるべく、カソード抵抗増加でバイアスを深くし、その分実効プレート電圧を低下させプレートの赤化を抑えます。

ついでに「500V以上を扱うのはちょっと・・・」と言う人のために低電圧・低負荷でのロードライを引いてみると、ずいぶん縦長になってしまいましたが、

Ep=450V Ec=−70V Ip=65mA RL=5kΩ Pout=9W Pin=30W
Ep=500V Ec=−88V Ip=55mA RL=7kΩ Pout=9W Pin=28W


というデータが得られました。つまりプレート損失30Wの2A3そっくりさんで、2A3pp並みの出力が得られるのです。しいつこく言えば高価な球(NEC系で言えば6RA8や6CA10や8045など)を追わなくとも、青い鳥はすぐ近くでさえずっていた訳です。

ちなみにどうしてこんなに縦長なグラフになるかというと、カーブトレーサーの電圧設定上、高圧を測定する時は1目盛り5mAが最大となるからです。またEp=500Vのほうが若干歪は少なめです。

  


これならドライブ電圧もやや低めで作りやすい値ではないでしょうか。値段も980円ですし・・・・。見れば見るほど素晴らしい特性で、これを用いない人はバカだと断言したいほどです。








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FU50 SIGLE ENDED
プアマンズパワーフロムチャイナ
その2
1、やたらと安い、この球ってどーなの?
2、驚きのパフォーマンス
3、2π(360度)ファン登場
4、新しい接続方
HPへ
新しい接続方