6C33 SINGLE POWER AMP.
6C33 SINGLE POWER AMP.
シングルカソードという選択肢に意味はあるか!
この球が本来電圧制御用であるのは、誰もが知る所ですが、電圧制御管には6080や6336など双3極管がポピュラーなため、ヒーターが2つある6C33Cも、それらと同様に思われているのではないでしょうか。

しかし、じつは構造的に、これらの球に対し決定的な違いが3点あります。@まずヒーターが別々の系統になっている点。Aプレートが内部で一体構造になっている点、そしてBカソード電流が個別にコントロールできない点です。


                  

つまりカソードをシングルで使った場合、@使わなくなったヒーターによる20W分の発熱が抑えられ、A内部で熱結合している使わないプレート部分が放熱器として機能しだすわけです。

これが、いわゆる双3極管を片ユニットだけ使用した場合との大きな違いですが、その結果プレート損失はダブルカソード時と比べ、それほど低下しない可能性があります。

さらに、Bダブルカソード時に回避不可能だった、両ユニットが持つ電流のバラつき問題からも開放されることになります。

確かにダブルカソード時40Wというヒーター電力は、プレート損失60Wに対して大きすぎますが、飲み放題メニューのごとく「せっかくあるのに、使わないのはもったいない。」といった心理的トリックが先に立ち、その結果多くの人が6C33Cのシングルカソードに踏み切れていない、もしくは否定的になってしまっているのではないでしょうか。


        


ところが6C33CのOPT付きシングルアンプでは、シングルカソードにもそれなりのメリットがある事がわかってきました。つまりヒーター電力半減による熱損失低下、ユニット間のバラつき無用、ユニットあたりのプレート損失増大など、全く別の球として活用できるわけです。

ただし内部抵抗だけは高くなってしまいますが、元々が相当低いのに加え、OPTの1次電流が少なく済み、設計上むしろ扱いやすくなります。

規格表ではシングルカソード時のプレート損失=45Wとなっていますが、上記の理由から50Wはあるはずだと言う勝手な解釈を行い、45Wギリギリの動作を念頭に設計します。

こうして、ダブルカソードの時と同じ15Wのシングルアンプが設計できました。出力が変わらなかった理由は、シングル用OPTの性格上、電流にはキビシイ制約がある反面、電圧の制約が無いからです。

ただしドライブ電圧が、今回設計した6AU6の動作範囲ギリギリの140Vなので、歪の打ち消しに期待するか、もしくは製作過程であきらめなければなりません。

そこで、シャーシにはパワー管ドライブ必要時のため、GT管ソケットも配置しておきます。

それでは最終的に決まった回路図をご覧いただきます。




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 その1  その2
 その3  その4
 その5  その6













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その1:既存活用法への疑問と新設計 その2:ああ勘違い
その3:我が家にもいた青い鳥6AU6がスーパードライバーに変身!  その4:シングルカソードという選択肢に意味はあるか!
その5:入力キャパシタンスとはこう戦え! その6:この偉大なるコンビに感謝!