今回プッシュプルアンプ用差動位相反転回路を作るにあたり、なんとか真空管で、「超低電圧定電流接続」の様な物ができないか実験を重ねる中、下の図のような特性が得られる接続方法を発見しました。
この曲線からプレート電圧5V以下でも定電流に近い動作ができ、さらにその電流もバイアス電圧で、ある程度アジャストできるのです。使っている球はリモートカットオフの6BA6で、6AU6などシャープカットオフではアジャスト幅が狭くなるようです。
下に測定回路図を載せましたが、誰もが「なーんだ、こんなんでよかったの?」と思うくらい単純で、なんだかキツネに騙されている様な気もしますし、もう誰かがすでに発表しているのではないかとも思えます。しかしそうした文献にはたどり着けません。
そこで早速下の図のような実験回路を作り測定してみることにしました。
実際に回路図を描いてみると、12AT7のカソードの下にある6BA6がさらにウソ臭く見え、「お前、こんな所で何やってんの?」という感じです。
当初6BA6のp−g間容量の影響で定電流特性は周波数特性を持つように思われましたが、実際は100kHzの矩形波でも下の写真のように充分な特性を持っています。
またゲインは12倍程度で、6BA6のグリッドに入っているケミコンは無くてもかまいません。
出力のバランスはほぼ等しく出来、高域特性についても、30kHzの矩形波を写した下の写真のように、充分な帯域を持っていることが分かります。
なお出力波形は比較しやすいように、反転側をあえてオシロ上で位相反転させ、またリニアリティーが分かるように三角波を用いました。
さらに増幅する球のバイアス電圧及びプレート電流と、6BA6などSLVCCC管との相性なども、これから実験して、本当に実用に値するかどうかの検証を行う予定です。
それにしてもこのような動作例は、これまで本当に無かったのでしょうか。
皆さんのご報告をお待ちします。
また、その他の球についても計測を始めましたが、その中でだんだん分かってきた事が出てきました。
つづく