実作に向けて爆発の時代
私はアンプを作る際に、組上がった段階ごとに順次電源動作試験を行います。というのも全部組み立ててからでは、誤配線の発見に手間がかかるためですが、電源回路の組み立て中、この試験を行って大変なミスが判明しました。

それは倍電圧回路の3倍及び5倍部分で、本来どちらも耐圧800Vの2階建てにしなければいけないところを、半分の耐圧で作っていたのです。

幸い4倍である1600Vレベルまでの試験だったので、ケミコンの破裂音を聞くのは1個分で済んだものの、油断大敵です。





よって、あと2個多くケミコンを収納しなければならないことが判明した一方、もはやシャーシ内部は満杯で、余分なスペースなどありません。もちろんシャーシの上もいっぱいです。

そこで基板1枚にケミコン2個装着していたものを、3個装着できるよう、330μFではなく180μFに変更し、2400Vの6倍電圧回路が収納できる段階まで来ました。裏側から見た配線状態と言っても、コンデンサーが見えるだけです。

ちなみに使用している白と水色のケーブルは高耐圧線で、被服はビニール的ではなくゴム質で出来ています。





電源の配線が終わって電源を入れ、スタンバイスイッチをONにすると、電圧が2000Vを超えたあたりで耳をつんざくような爆発音がしました。原因はリップルバッファ用33Ω抵抗の破裂でした。

そこで2本パラにしてみるといったん収まりますが、さらにフィルターをつなげるとまた爆発。とうとう3本パラレルにして不本意ながらOKとなりました。しかしこれではスッキリしません。


                  


そんな途方に暮れていた或る日、爆発の理由は抵抗の耐圧であると、このサイトをご覧になっている方のありがたい指摘でわかったため、この部分を5Ω5個直列に置き換えました。感謝します。

つまりリップル電圧の差がリップルバッファ抵抗両端、すなわち倍電圧整流直後と次段のコンデンサーとの間で耐圧オーバーとなってしまったわけです。逆に言えばここでかなりのリップルを抑えているとも言えます。

これで一件落着と思いきや、今度はコンデンサのかなり激しいバーストが起きてしまいました。原因はブリーダー抵抗の値が高すぎるためでしょう。そこで全面的にやり直しを始めました。


                   


30個のコンデンサー全てに抵抗を付け足し、恐る恐る再度電源を入れ、しばらく経ってもなんとも無いのでホッとしました。しかし間もなく「バーン!」と爆発音。ウへーッ!!今度は新しいブリーダー抵抗の爆発でした。

100本まとめ買いした中で、耐圧の低いものがあったのでしょうか。現在ブリーダー抵抗は0,5Wを何個かパラで使用しています。しかしこれは全く規格外の使用方法であると、先ほど指摘された方から教わりました。

よって3W以上の抵抗器使用を目指したいのですが、ケミコンタワーのスペースが足りません。とりあえず抵抗交換後、スタンバイSWを入れてみると何ともありません。電圧は2400Vのままで、ドライバーの6HV5も動作しています。

ほっとした次の瞬間「バーン!!」という強力な音が・・・・。「ウヒャ―!な、なんなの。」と思ってよく見たら、6個直列後もう大丈夫と思っていた、リップルバッファ用抵抗5W・5Ωx6個のうち、3個が大破、3個が小破していました。


         


これを裏返すと下の写真となります。耐圧は十分なはずなのに、これはなぜでしょう。しかもそれらをよく観察すると、異常が発生している位置は2本づつ同じように見えます。但し、どれも断線はしていません。

また元々配線してある1/2Wのカーボンブリーダー抵抗は、全く以上ありません。カーボン抵抗は高圧に強いのでしょうか。


         


それにしても2000V程度の電圧と、この距離で放電が起きるとは考えられません。しかし損傷の位置がそろい過ぎているのが気になります。そこで抵抗器が折り返さないよう円弧状に結線して、破裂するかしないか試します。

そうして試した結果、残念ながら6個の5W・5Ωつまり30W・30Ωは、みんな仲良く破壊されてしまいました。原因の究明は年を越しそうです。


           


今回苦労している失敗の最大要因は、2400V電源を安易にビルトインしてしまったからでしょう。よく考えたらこれは1200Vクラスの電源を2個収納しているのと同じです。

おかげで大量のケミコンがひしめきあって、ブリーダー抵抗などのスペースがなくなり、抵抗器にストレスがたまってしまいました。

また冷却ファン周囲に無理やり設置したセメント抵抗集団を見ても、市販弁当箱シャーシ1個で済ませることの限界を感じます。

時節はちょうど2014年のクリスマスイブ。コンビにで買ったチョコレートケーキとフライドチキン、そしてカップラーメンで,、一人だけの清しこの夜、&悩めるこの夜を迎えます。

このアンプの完成に神の祝福あれ。ついでにエコヒート活用の路線にも祝福あれ。それから自主空冷にも・・・。ま・・、これは来年でいいかな。




つづく





その5
1 最適動作点と動作方法を探る
2 独立型アンプとグリッドチョークの改造
3 電源回路とパーツレイアウト
4  ドライバーのカイゼンと部品配置
5、実作に向けて爆発の時代
6、実作に向けて計測の時代
7、特性向上に向けて
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